プログラミング未経験から、自分のサービスを公開するまでの進め方
何から始めて、どの順番で進めればいいのか。未経験の人が自分のサービスを世に出すまでの現実的な手順を、つまずく場所とあわせて説明します。
作りたいものはある。AIを使えばできるらしい。でも、最初の一歩がわからない。ここでは、未経験の人が実際にサービスを公開するまでの5段階を、それぞれでつまずく場所とあわせてたどります。順番を守るだけで、途中で止まる確率がぐっと下がります。
まず結論
進め方は5つの段階に分かれます。
- 1
自分ごとの題材を1つ選ぶ
他人向けではなく、自分が困っていることから始めます。
- 2
雑でもいいから動くものを作る
設計を固める前に、まず触れるものを作ります。
- 3
自分で毎日使ってみる
使うと、必要な機能と要らない機能がはっきりします。
- 4
公開できる状態にする
ここで初めて、他人が使う前提の確認をします。
- 5
5人に使ってもらう
感想ではなく、実際にどう使ったかを観察します。
以下、それぞれ説明します。
段階1:自分ごとの題材を1つ選ぶ
最初に作るものは、自分が使うものにしてください。
他人向けのサービスから始めると、作っている途中で「これ本当に必要なんだろうか」と迷いが出ます。そして多くの場合、そこで止まります。
自分が毎週やっている面倒な作業を1つ選び、それを楽にする道具を作る。これがいちばん完走しやすい出発点です。
題材の例
- 部活の出欠を毎回LINEで聞くのが面倒 → 出欠入力ページを作る
- お小遣いの記録が続かない → 自分専用の記録アプリを作る
- お店の予約を電話で受けるのが大変 → 予約ページを作る
段階2:雑でもいいから動くものを作る
設計を固めてから作りたくなりますが、逆効果です。
理由は、触ってみるまで何が必要かわからないからです。頭の中で考えた設計は、実際に使うとほぼ必ず変わります。
見た目が汚くても、機能が足りなくても構いません。まず動くものを作ってください。AIを使えば、ここは数時間で越えられます。
段階3:自分で毎日使ってみる
これを飛ばす人が多いのですが、いちばん学びが多い段階です。
自分で使うと、こういうことがわかります。
- あると思っていた機能が、実は要らなかった
- 考えていなかった機能が、ないと困る
- 押しにくいボタンの位置
1週間使ってみてください。 それだけで、作るべきものの解像度が大きく上がります。
段階4:公開できる状態にする
ここが分かれ目です。自分だけで使うのと、他人に使ってもらうのは、必要なものが違います。
自分とAIでできることが多い
- 自分や友達だけで使うツール
- 学校や会社の中だけで使うツール
- アイデアを試すための試作品
- 利用者が少ない小さなサービス
専門家の知識が重要になる
- 他人の個人情報を預かる
- お金のやりとりをする
- 利用者が一気に増えたとき
- 動かなくなったときの復旧
他人が使うなら、少なくともこれらを確認してください。
- 他の人のデータが見えてしまわないか(別のアカウントを作って試す)ここが該当したら公開しない
- 管理者用の画面に、誰でも入れてしまわないかここが該当したら公開しない
- パスワードなどの大事な情報が、外から見える場所にないかここが該当したら公開しない
- 変な値を入力されても壊れないかここが該当したら公開しない
- データが消えたときに戻せるか
- 問い合わせ先が用意されているか
詳しい確認方法はAIでアプリができた!でも、そのまま公開して大丈夫?にまとめました。
段階5:5人に使ってもらう
公開したら、5人に使ってもらってください。人数は少なくて構いません。
多くの場合、3人目までに同じ問題が繰り返し出ます。人数を増やすより、1人ずつじっくり観察するほうが情報量が多くなります。
聞き方に注意してください。
- ✕「どう思う?」→ たいてい褒められて終わります
- ○ 黙って使ってもらい、詰まった場所を見る
言葉より、行動のほうが正直です。
各段階で、実際に何を打つか
5段階を挙げましたが、それぞれで使う指示を書いておきます。
段階2:動くものを作る
◯◯を作りたいです。プログラミングは初めてなので、進め方も教えてください。
作りたいもの:
・(機能を箇条書きで3つまで)
条件:
・まずは自分のパソコンの中で動く状態にしてください
・見た目は後回しで、動くことを優先してください
機能は3つまでに絞ってください。 最初から全部入れようとすると、動くまでが遠くなります。
段階4:公開できる状態にする
まず保存先と公開先を用意します。
このアプリのデータを保存できるようにして、インターネットに公開したいです。
無料で始められる方法で、手順を1つずつ教えてください。
保存には Supabase、公開には Vercel が使われることが多いです。どちらも無料の範囲があり、サーバーの管理が要らないので、1人でも運用が続けられます。
そのうえで、安全確認の指示を出します。
公開する前に、次を確認して、問題があれば直してください。
直す前に、まず現状を説明してください。
1. ログインした人が、他人のデータを見られてしまわないか
URLの番号を書き換えた場合も含めて確認してください
2. 管理画面に、URLを直接入力すれば誰でも入れてしまわないか
3. 鍵にあたる情報が、ブラウザから見える場所にないか
4. 変な値を入力されても、サーバー側で止められるか
さらに、保存側で止める指示も出してください。
データベース側で、ログインした本人のデータしか読み書きできないように
設定してください。Supabase を使っているなら RLS を有効にしてください。
画面で隠すだけの対応にはしないでください。
画面で隠すだけの実装は、URLを直接叩かれると突破されます。 保存側で止めていれば、最後の砦になります。
段階5:使ってもらう
声のかけ方も具体的にしておきます。
突然すみません。◯◯で困っている、という投稿を拝見しました。
同じ課題を感じて、こういうものを作ってみました。
(URL)
無料なので、よければ触ってみてください。
使いにくいところがあれば、そのまま言ってもらえると助かります。
「感想をください」ではなく「使いにくいところを教えてください」と聞いてください。 前者だと社交辞令が返ってきます。
つまずくのはコードではない
実際に進めると、詰まるのは文法ではありません。次の3つです。
1つ目は、動いているように見えて壊れているものを見抜けないこと。 AIが作ったものは、たいてい一見動きます。でも「他人のデータが見える」といった問題は、指摘されるまで気づけません。
2つ目は、どこまで作れば公開していいかわからないこと。 完璧を目指すと終わりませんが、雑に公開すると事故が起きます。この線引きには基準が必要です。
3つ目は、詰まったときに聞く相手がいないこと。 AIに聞いても堂々巡りになる場面が必ず来ます。「そもそもやり方が間違っている」というタイプの問題は、AIでは気づきにくいためです。
何を身につけるべきか
コードを書く力ではなく、判断する力です。
- この機能は今作るべきか、後回しでいいか
- この状態で公開して大丈夫か
- AIの提案は妥当か、それとも見当違いか
これらは、自分で一度サービスを公開まで持っていく経験を通してしか身につきません。逆に言えば、一度やり切れば次からは自力で進められます。
よくある質問
Q. 全部でどれくらいの期間がかかりますか? A. 人によりますが、週に数時間とれるなら1〜2か月が目安です。動くものが最初にできるまでは、数時間から数日です。
Q. 途中で挫折しないコツはありますか? A. 題材を自分ごとにすることです。他人向けのものは、作っている途中で必要性がわからなくなり、そこで止まります。
Q. 作ったものが誰にも使われなかったらどうしよう A. 最初はそれが普通です。むしろ、少ない労力でそれがわかったこと自体が成果です。次のアイデアに早く移れます。
Q. どこまで作れば「公開できる」と言えますか? A. 他人のデータが見えないこと、これが最低条件です。詳しくはAIでアプリができた!でも、そのまま公開して大丈夫?にまとめました。
まとめ
- 進め方は題材選び → 動くものを作る → 自分で使う → 公開準備 → 5人に使ってもらう
- 最初は自分ごとの題材を選ぶ
- 設計を固めるより、まず動かす
- 公開の前に確認する。他人のデータが見えないかが最重要
- 身につけるべきは、コードを書く力ではなく判断する力